Amazon検索アルゴリズムのA9からA10への変更点と影響


Amazonのセラーさんはすでにご存じの通り、検索アルゴリズムは近年「A9」から最新版の「A10」へとアップデートされました。
この変更により、商品検索のランキング要因に大きなシフトが生じています。
従来のA9では主に売上実績や広告といった要素が重視されていましたが、A10ではよりオーガニック要素に重点が置かれるようになっています。
例えば、商品ページへの外部からのアクセスや、顧客からのレビュー評価、出品者の信頼性などがランキングに与える影響が増しています。
こうしたA9からA10へのシフトは、Amazon側がユーザーの購買意図によりマッチした商品を上位表示しようとする戦略転換を反映していると捉えていいかと思います。
日本のAmazonマーケットプレイスにおいてもこの変化は適用されており、出品者は新アルゴリズムに対応した対策が必要となっています。実際、A10では検索キーワードとの関連性やユーザーエンゲージメントがより重要視され、購入されやすい商品を優先表示する仕組みへと進化しているのです。
A9からA10への主な変更点と影響
内部要因から外部要因へのシフト
A9アルゴリズムはAmazon内部の売上やコンバージョン率など「プラットフォーム内の実績」に重きを置いており、特に商品の販売速度や売上履歴が良いほど検索順位が上がり、またPPC広告で露出を増やして売上を伸ばす戦略が有効とされていました。
一方、A10では外部のシグナルも考慮されるようになり、GoogleやSNS経由のトラフィックなど「Amazon外からの流入」がランキングに寄与する比重が高まっています。例えば、ブログやSNSで話題になって外部から多くのユーザーを呼び込む商品は、「需要が高い」とみなされ検索順位が上がりやすくなります。
Amazon自身、「オフサイトのトラフィックと売上、ソーシャルメディアでの言及」をA10では参照しているとされます。この変更により、従来は広告頼みで上位表示されていた商品でも、外部集客やオーガニックな人気が乏しければ順位が維持しにくくなったのです。逆に言えば、Amazon以外で人気や知名度を獲得している商品は、より有利にランキング上昇する可能性があります。特に、日本でもSNSや口コミでバズった商品がAmazonで一気に売上を伸ばすケースが増えており、A10アルゴリズムはそうした動きを捉えやすくなっています。
ランキング要因の優先度の変化
Amazon A10では、検索順位を決める各要因の重要度にも変化があります。具体的には、検索キーワードと商品の関連性やクリック率(CTR)の評価比重が従来より上がったと言われています。
A9でもキーワードの適合性やCTRは考慮されていましたが、A10ではそれらがより重視され、「ユーザーの検索意図に合致した商品」が優先される傾向が強まっています。
一例として、「キーワードと商品の関連性 > 商品の収益性」という指摘があり、検索クエリに対して最も適切な商品を表示することをA10が重視していることを示唆しています。
また商品ページが表示された際のクリック率も評価アップしており、魅力的な商品画像やタイトルによって高いCTRを獲得できる商品はランキング上有利になります
反対に、従来重視されていた有料広告の効果や単純な販売数至上主義は相対的に後退し、広告だけでは上位維持が難しくなっています。このようにアルゴリズムの焦点がシフトした背景には、米国市場での競争環境があり、米国AmazonはGoogle検索経由のトラフィックで競合のウォルマートに遅れをとっていたため、GoogleのSEOで重視される外部リンク(参照リンク)の要素をAmazon内ランキングにも取り入れたと言われます。
その結果生まれたのがA10アルゴリズムであり、Google的な要素(外部からの評価)を加味することで、よりユーザーにとって relevant(関連性が高く満足度の高い)な商品を上位に見せようとしているのです。
この変化は日本のAmazonにも波及しており、楽天市場など他チャネルとの差別化を図るうえでもAmazonは自社サイト上のユーザー体験向上に軸足を置いていると考えられます。
特定カテゴリーへの影響
Amazon A10への移行はAmazon全体の検索ロジックに関わるため、基本的には全ての商品カテゴリに影響があります。ただし、その影響の度合いはカテゴリごとの市場特性によって異なります。
例えば、競争が激しいカテゴリ(家電、ビューティー、日用品など)では、従来PPC広告や価格競争で上位を取っていた商品が多く、A10への変化によって順位変動が顕著になったケースがあります。これらのカテゴリでは各社が広告頼みの戦術から脱却し、レビュー改善や外部集客に力を入れる動きが見られます。また、トレンドに左右されやすいカテゴリ(ガジェット類やコスメなど)はSNSや口コミの影響が大きいため、A10のもとではバズを起こした商品の台頭がより早く反映されるようになりました。実際、米国AmazonではTikTokやInstagramで話題になった商品が検索上位に急浮上する現象が報告されており、日本においてもSNS発の商品ヒットがAmazonランキングに波及する傾向が強まっています。
ある美容グッズがTwitterで拡散され外部流入が増えた結果、Amazon内の検索順位が上昇しベストセラーになった…といったケースも珍しくありません(※具体的事例は非公開データのため推測となります)。
一方で、ニッチなカテゴリやブランド忠誠度が高い商品の多い分野では、従来からレビューやリピートが重視されていたこともあり、A10への変更による影響は相対的に緩やかかもしれません。しかし全体として言えるのは、A10へのアップデートにより全カテゴリで「良質な商品体験」を提供する出品者が有利になる方向へ舵が切られたということです。競合ひしめくジャンルほど、その傾向が際立っているといえます。